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2016.04.18

グローバル人材に必要なのは「教養」~米国のビジネスシーンでリベラルアーツが重視されるわけ

AUTHOR :   川嶋 美紀子

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川嶋美紀子

昨今、グローバル人材の育成に必須といわれているのが「リベラルアーツ」教育です。米国のビジネスシーンでは、ビジネスでの成果に結びつく知識や能力の習得を優先するという考え方から、もっと幅広く深い知識に裏付けられた人間力こそがグローバルビジネスを勝ち抜くために必要だという認識が広まりつつあります。その基礎を築くのがリベラルアーツです。なぜビジネスにリベラルアーツが必要とされるのでしょうか。

人生を豊かにする「リベラルアーツ」とは?

リベラルアーツ(liberal arts)とは、「人間としての教養」を意味します。経営、数学、科学、エンジニアリングといった専門分野のみを極めるだけではなく、幅広い知識を学ぶことで人間力を高め、人生を豊かにするものです。よく「木を見て森を見ず」といいますが、リベラルアーツは「森」を捉えるために多様性を知り、認め、活かす能力を身につけるための勉強です。

東京工業大学「リベラルアーツセンター」の取り組み

こうした考えは専門知識を学ぶ大学でも認識を深めており、専攻以外にリベラルアーツを学ぶ機会を設ける大学が増えています。日本でも、例えば理工系大学である東京工業大学では「人間としての根っこを太くしよう」をモットーに掲げ、「リベラルアーツセンター」を設立しています。全学生に向けて「倫理学」「芸術と社会」「ネットジャーナリズム論」「現代世界の歩き方」などの文系科目を提供し、“理工系分野の高い資質を持ちながら現代社会の諸問題に正面から立ち向かうことのできるリーダー”の育成を目指しています。

なぜリベラルアーツがグローバル人材に不可欠か?

リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所が2014年に実施した「経営職・管理職のリベラルアーツ実態調査」によると、従業員500人以上在籍している企業の部長以上に「経営職、管理職で成果を出す上でリベラルアーツは必要か」と質問したところ、「必ず必要だと思う/必要だと思う」と回答した人が49.6%、「どちらかといえば必要だと思う」(32.8%)と合わせると、実に8割以上がビジネスパーソンにとってのリベラルアーツの必要性を認識しています。

ビジネスを成功に導くのは「人間としての奥深さ」

成功するビジネスの裏には、常に“個”としての人間力が大きく影響しています。新規事業を立ち上げるには、点を線につなげられる発想力や創造力が必要です。一面的なものの見方に偏らず、ビジネスを大局で捉えることができるビジョンと論理的思考も持ち合わせていなければなりません。また、リーダーとしてチームを引率する、または社内外や海外と円滑にプロジェクトを進められるようなコミュニケーション能力も備えていなければならないでしょう。多様なものの考え方ができ、他人との違いを受け入れることができる柔軟性もグローバルに活躍する人物には必須の能力です。これらの人間としての奥深さを習得するのがリベラルアーツなのです。

米ビジネススクールで高まる「リベラルアーツ」の需要

著名な政治家や世界的な科学者を輩出する米国の大学では、リベラルアーツを徹底的に身につけてから専門的な知識を勉強するといいます。最近、米国ではビジネススクールでも、ビジネス一辺倒のカリキュラムではなくリベラルアーツを取り入れようとする積極的な試みが増えているようです。

ビジネススクールでリベラルアーツの学位も取得

ミシガン大学のビジネススクールでは2014年より「MERGE」と呼ばれるプログラムを開始し、社会におけるビジネスのあるべき姿、社会でのビジネスリーダーの役割について勉強する「Business and Leaders」というコースを設置しています。また、ニューヨーク大学のスターンビジネススクールの学生は、リベラルアーツを学ぶ「Social Impact Core」コースの一環として、取得必須クラスの半分までをArts & Sciencesカレッジで受講できます。ニューヨーク市にあるセント・ローレンス大学やマサチューセッツ州にあるベントレー大学では、ビジネス専攻であっても芸術や哲学などのリベラルアーツを副専攻とし、学位を取得することができます。

グローバルビジネスを成功に導くのは高い教養を備えた「人間力」

こうしたリベラルアーツの盛り上がりは、利益追求だけにこだわってきたビジネススタイルに限界を感じたという反省の結果でもあります。例えば、国境を越えて継続的に利益を生むビジネスをするには、そのビジネスがコミュニティに生む経済的価値や文化との融合性について理解しなければなりません。そのためには、歴史や人文科学的な視野も取り入れ、プランを立てる必要があります。新しいアイデアをキャッチするアンテナや顧客に対する洞察力といったビジネスセンスも、やはり芸術や文学など幅広い知識を得ることで磨かれるものです。将来のビジョンを描ける想像力、課題やリスクに対する思考力、新事業を起こす創造力や企画力を備えた人材づくりの基礎となるリベラルアーツの需要は、今後ますます高まるでしょう。

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