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2017.05.11

日本の長時間労働への特効薬になるか?勤務間インターバル制度

AUTHOR :   井内 恵美

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井内 恵美

長時間労働は、生産性や作業効率を低下させるだけでなく、従業員の健康にも悪影響を及ぼします。その解決策のひとつとして注目されているのが、「勤務間インターバル制度」です。今回は、その制度の内容に加え、日本の長時間労働の実態と経済への影響について解説します。

勤務間インターバル制度とは?

勤務間インターバル制度は、残業を含む勤務終了後から次の勤務が始まるまでに、一定時間以上の間隔を設けるというものです。例えば、インターバルが11時間の場合、23時まで残業をした翌日の勤務開始時間は朝10時となります。

インターバルがあることで、働く人は生活や睡眠の時間を確保できるようになります。そのため、勤務間インターバル制度はワーク・ライフ・バランスを保ちながら健康的に働ける環境を整備すると同時に、労働生産性の向上も見込める具体策として注目されているのです。

EU諸国では、すでに「24時間につき最低でも連続11時間の休息時間(勤務と勤務の間隔)を付与すること」「7日ごとに最低でも連続24時間の休息を付与すること」が義務づけられています。

制度導入促進のために政府から企業への助成金も

厚生労働省は、勤務間インターバル制度の導入を推進するために、2017年の4月より職場意識改善助成金「勤務間インターバル導入コース」の事業実施承認を開始しました。就業規則の変更・整備、労務管理ソフトなどの導入や更新、労務管理担当者や従業員への研修実施といった、制度の導入にかかる経費の3/4(上限は50万円)までが助成されます。なお、同省では成果目標として、事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が9時間以上11時間未満、または11時間以上の勤務間インターバルを導入することを掲げています。

30~40代男性の15%超が毎日4時間以上の残業

厚生労働省の「過労死等防止対策白書(平成28年度版)」によると、30~40代の男性の15%超が、週に60時間以上就業しています。これは1日の定時勤務が8時間の場合、毎日4時間以上の残業をしている計算です。また、残業時間が長い人ほど、疲労の蓄積やストレスを多く抱えているといえます。

社員のメンタルヘルス管理については、「メンタルヘルス不全を抱える社員への対応」でご覧いただけます。

さらに、厚生労働省委託の「過労死等に関する実態把握のための社会面の調査研究事業報告書(平成27年度)」によると、6時間未満しか睡眠時間を取れていない人は残業時間が長くなるほど多くなり、週に20時間以上の残業をしている場合は、約半数を占めるほどになります。また、勤務日の睡眠時間が「足りていない」「どちらかといえば足りていない」人が4割を超え、その理由に長い残業時間を挙げる人が最も多いという結果となっています。

睡眠不足による日本の経済損失額は年間約16兆円

睡眠不足は仕事の生産性を低下させるだけでなく、健康面への悪影響や死亡のリスクを増大させ、企業活動のみならず経済にも深刻な影響を及ぼします。

非営利研究機関ランド・ヨーロップの調査によると、睡眠不足による日本の経済損失額は年間1,380億ドル(約16兆円)。これはアメリカの4,110億ドル(約47兆円)に次ぐ2位という結果です。睡眠不足が引き起こす生産性の低下に目を向けると、日本は社会全体で年間60万日以上の労働時間を損失しているといいます。

さらに同調査では、1日の睡眠時間が平均6時間未満の人の死亡リスクは、7~9時間の人に比べ13%高くなると指摘しています。また、6時間未満の睡眠を6~7時間に増やすことで、日本経済には7,570億ドル(約87兆円)のプラス効果があると試算しています。

日本の労働生産性については、「勤勉なのに効率が悪い!?日本の労働生産性は先進7カ国で最下位」でもお読みいただけます。

勤務環境の見直しと従業員の健康への配慮が急務

企業が残業を前提とした量の業務を社員に与え、社員自身もそれに疑問を抱かないケースが、日本では多くみられます。厚生労働省が約1700社を調査した結果では、勤務間インターバル制度を導入している企業はたったの2%だそうです。しかし、従業員の就労環境と健康を守ることは、企業の生産性の向上に欠かせません。就労規則をはじめとした労働環境の見直しや、労使双方の意識改革が今後ますます求められています。

長時間労働対策については「長時間労働を減らす「時短マネージメント」とは」、働き方改革については「働き方を変えて企業を成長させる施策とは?」もご覧ください。

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