TOEIC®プログラムの開発機関であるETS(Educational Testing Service)が、2016年5月29日の公開テストよりテストの出題形式を変更することになりました。新形式では内容が大きく改定され、従来の対策法では点数が取れなくなるといわれています。では、どのような変更がなされたのでしょうか。
こう変わる!テクニックでは点数が取れない新TOEIC
従来のTOEIC®出題方式では出題の傾向と対策が研究しつくされていたため、“コツ”さえつかめばある程度点数を伸ばせました。しかし、新形式では会話の文脈やニュアンスまでを理解しないと解くことが難しいため、テクニックに頼らない本当の英語力が問われることになります。
これまでは、TOEIC®の点数と実際の英語力が比例しないことが問題でもありました。ETSが発行したTOEIC®プレスリリースによると、新TOEIC®は「現在のグローバルビジネスにおいて必要とされているコミュニケーション能力が備わっているということを証明する」テストと位置づけられています。
「使える英語」テストへ進化
今回、出題形式が大きく変わるのは「リスニングセクション」のパート3(会話問題)、4(説明問題)に加え、「リーディングセクション」の6(長文穴埋め問題)、7(読解問題)です。以下に、主な変更点をまとめました。
リスニングセクションの主な変更点
- 写真描写問題(Part 1)と応答問題(Part 2)の設問数が減り、会話問題(Part 3)の設問数が増える。
- 以前は正確な文法による会話文だったが、若干不自然であるため、変更後は実際の会話のように短い発言が増えて会話のやり取りが多くなる。
- 2名のみの会話から、3名のランダムな会話になる。
- 省略形(例:going to→ gonnaなど)、文の一部分(例:Yes, in a minute; Down the hall; Could you?など)を含んだ口語表現が増える。
- 会話やトークの中で聞いたことと、問題用紙に印刷された図で見た情報を関連づけて解答する設問が追加される。
- 会話やトークの中で、話し手が暗示している意図を問う設問が加わる。
リーディングセクションの主な変更点
- 短文穴埋め問題(Part 5)の設問数が減り、長文穴埋め問題(Part 6)のひとつの文章に含まれる設問が3問から4問に増える
- これまでの穴埋め問題は単語や句のみを埋める形式だったが、一文まるごと空欄に埋める設問が加わる。
- メールやオンラインチャットなどで使われる文章に関する設問が加わる。
- 3つの関連する文書を読んで、その関連性を理解しなければ解けない設問が加わる。
- 文書中で、書き手が暗示している意図を問う設問が加わる。
以上のように、より「自然な英語」を設問に取り入れ、「全体への理解」を問う問題になっています。
社員の英語コミュニケーション能力を目指そう
多くの企業が新入社員にTOEIC®テストを実施したり、研修にTOEIC®テストを導入したりしています。しかし、慣習的に“とりあえず”TOEIC®を導入しているところも多いのではないでしょうか。従来の形式はスコアばかりが重視され、実際の英語力がおざなりでしたが、新形式ではビジネスで求められる英語でのコミュニケーション力が正しくスコアに反映されることでしょう。今回の変更を受けて、自社の英語教育の見直しを検討してはいかがでしょうか。
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参考:
- TOEIC®テスト 出題形式一部変更について|TOEIC(2016/3/29確認)
- 10年振りに改訂する「新TOEIC」攻略のツボ|東洋経済ONLINE (2016/3/29確認)