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2016.03.03

海外駐在で「グローバル人材」は育つ?

AUTHOR :   川嶋 美紀子

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川嶋美紀子

日本では、海外へ社員を赴任させる会社がグローバル企業であるという考え方や、海外駐在員=グローバル人材という理解がよく見られます。はたして、海外赴任はグローバル化と同義語なのでしょうか。海外駐在員制度をグローバル化の視点から考える場合、そこには取り組むべきさまざまな課題があるようです。

海外駐在はしたくない?消極的な若い世代

海外赴任が昇進への登竜門的なステータスを持っていた時代は終わり、今では、家族生活の充実や、国内でキャリアを積むことを優先する志向が高まっているようです。

厚生労働省の「若者の意識に関する調査」(2013年)にて、10~30代を対象に海外での就労意欲について調べたところ、海外で就労したいと「思う/どちらかといえば、そう思う」と答えたのは全体の24.6%で、「思わない/どちらかといえば、思わない」との回答は75.4%と、消極的な意見が目立つ結果でした。

大手企業では、キャリアの慣例として海外駐在が課せられる例も多々あります。しかし、ビジネスの現地化やローカルスタッフの活性化は、今やグローバルビジネスの最重要課題のひとつ。海外駐在員は、“絶対優位の本社のやり方に従って、海外拠点を仕切る日本人”から“現地化が重要視されている拠点に送り込まれる日本人社員”という役回りにシフトしています。

「いつ帰れるかわからない不安」「現地での重責」

赴任する本人にしてみれば、日本の本社での事業や開発の第一線から長期間離れる不安は大きいでしょう。現地では言葉や文化の壁に直面し、現地スタッフとの摩擦や扱い方に頭を悩ますこともあります。駐在の際は、日本よりランクの高いポジションに就くことが多いため、マネジメント経験なしでマネージャー級のポストについたり、事業規模によっては専門外の業務もこなさなければならなかったりするケースもあります。

赴任期間が長くなるうちに、企業内で海外の“専門家”として見られ、いろいろな拠点を回り、長年帰国ができないというケースも多々あります。こうしたジレンマを抱える海外赴任は、当然ながら必ずしも魅力的なキャリアではなくなっているのです。

会社の支援不足が海外就労への消極姿勢を生む

しかし、この「内向き」傾向は、社員が自分の将来を見据えたときに行き着く、ごく合理的な損得選択の結果といえるでしょう。現状では、社員が自ら「海外での仕事にチャレンジしてみたい」「海外で働けばキャリアアップできる」と思える企業側からの支援体制や仕組みが十分ではないためです。海外赴任に伴うさまざまな不安や問題は、サポート体制が整備されない限り続いていくでしょう。以下に、必要とされる支援項目を挙げてみました。

  • 海外赴任の事前研修やコーチングの実施
  • 赴任中の人事評価者の明確化と適切な評価の実施
  • 家族への待遇措置、サポート体制
  • 帰国後の昇進評価システムとキャリアパス

グローバル化に貢献していない、ひとり歩きの海外駐在制度

現状、駐在員が抱える不安や問題の多くは、駐在制度が人事や経営のグローバル化にのっとって考えられておらず、うまく機能していない事実の裏返しといえるでしょう。海外駐在経験をビジネスのグローバル化に貢献する手段と位置づけるのであれば、海外駐在員の役目を本社との連絡係ではなく、現地化の際の本社と現地との橋渡し役、または、現地での経験を帰国後に本社戦略に取り込む組織づくりの推進役とする必要があります。

海外駐在員が活躍できる制度の構築を

真にグローバルな人材を育成するには、海外に出せば育つだろうというあいまいな視野では難しいもの。企業がグローバル化の方向性をきちんと定め、赴任経験が活かされるような組織づくりを再考して初めて、海外駐在員もグローバルな人材として活躍できる場が与えられるでしょう。

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